股ぐらを駆けて

豆電球が頬を赤く腫らす頃に
風が吹くのは決まって窓が閉まった夜更けだ
確と目の前に見える目ん玉に映る灯りが
どうも夢と現の境目を曖昧にする
ハッとして目が冴えてしまうのは
親不孝ものだからか
もはや憎しみや残像が足を引きずるわけでもあるまい
生きるということは
死なないで死なないで死なないで
そう喉を枯らす相手がいるということなんだろう
大事なものができなければ
祈ることもない
大事なものがいなければ
赤の光線に胸縛られることもない
だけども、逃げて生きるよりはよっぽどいい
そう思えるようになる頃に
大事なものを喪うのだろう
書くことに腕が潰れそうになるけれど
そう、功し多けれど
その重量を舐めてでも抱きたい命があるんだよ