窓を挟んで愛の歌

何度も何度も名前を呼ぶ声が聞こえるので
振り返ってみたら誰もいなかった
いや、正確にはいなくなっていた
蜂蜜と彼女
耳心地だけが残る街はざらざらと風だけが抜けていく
聞こえているのに聞こえないふりをして
名前はわたしから離れて大気圏に
空気がなくなる頃に意識はわたしからあなたへと
音のない闇の中腹からは真っ青な顔をした地球が見える
漏れた耽溺は引力に滴りまた雲を抜け頬に落ちていく
覚えのある触感が反響に鳴く
まるでアニメのような、深刻なポップ
煌めく閃光は脳天撃ち抜く恋でした
それでも崩れ落ちないお城がなかったように
砂場よろしく、振り返ればそこに波の跡だけ
美しいことは変わらない
変わるのはいつもわたしの方で
古びたウォークマンさながら聞こえないのです
美しいものが声を持ったならば