西麻布

水滴がつたうように背筋をのばした皮のソファ
指紋を充てがうように割れる扉

骨抜きの誇りか 色を持つ影か
ブラウン管に踊る空き瓶が女に絡まる

波打つ湖面にそそり立つ黒影
肉慾を地位で賄うバーテン
溢れる舌打ち 有名税の額を叩く
振り向く香水 躙り寄る芸名

文句があるなら言ってみろ無名人
悔しいかなお前のことなんて誰も知らない
哀しいかなお前のことなんて誰も知らない

俺のことを街ゆく人は知らないが
俺は俺の在り方を知っている

正論は静寂を
そして気まずさを