なんて平易な真実

今夜、酒瓶を置くだけでいい
月が上り切る前に、電気を消すだけでいい
そして横になり、目を閉じるだけでいい

橋を渡る車輪の音
母親が子どもを怒鳴る音
酒に濡れた若人がきしむ音
窓の向こうに広がる街の解像度が上がる
50m走より走る鼓動
はれぼったく熱を帯びる身体

目を開けても閉じても景象が等しくなるあの瞬間
気が付いてしまった

一緒にいる

なんて平易な真実
もうあれから会っていないあの人も
あの懐かしいあの人も 
ここに 
そこに
ここに
あのひとも

スノードームを覗くように敷き詰められている街
わたしの部屋

その外
その外にいるあの人
窓は街
外は街
ここも街
現代は同時代性
わたしたちは一緒にいる
確実にこの星の何処かに

一緒にいよう
なんて
なんて言葉よがりな言葉を吐いて来たのだろう
わたしたちは、出会った瞬間から死ぬその瞬間まで別れることはない

時間でもない、距離でもない、出来事でもない
単位で、そしてそれが命だということ
産み落とされ、目と目が一度でも落ち合えば
あとは闇に還るまで一緒だ
知ってしまった

生きているということは
一緒にいるということ

ただいま午前3:38分
窓とその向こう側、これは確かに繫がっている
会いたくても会えない会わない人とも、わたしは今一緒にいる