拝啓

8ミリテープのなかで動く彼は笑っていた。
奇跡を育むような顔をしてレンズを覗き込んでいたのだろう。
命がそこで途切れることを誰も知らない教室で、私も彼も昭和のビデオカメラを回している。
藍郷雅貴、いい名前だ。堀川宏美、こちらもいい名前だ。
あなた方との日々に恥じないような生き方を、私はまだできているのだろうか。
二つだけ確かなことは、目指してきたものはまだ一つも零していないということと、
私は変わらないで今日を迎えているということ。

そちらは、いかがでしょうか。

こちらは、元気にしています。
先々月は少し調子を崩したので、それから暫くは仕事も全て休んでいました。
 
お酒も量はあまり飲まなくなりました。酔うと自分のなかのクリエイティビティのようなものに手枷がかかるようなことに気がつき、酒がまわるまで飲めなくなりました。

それでも毎日が発見の連続です。昨日まで出来なかったことが少しずつできるようになる今日の連続です。沢山働くとたくさんのお金がもらえること、お酒を飲むと作業が進まないこと、そんな皆さんが当たり前のように知ってきた常識をこの歳になって新たに学び驚き、微々たる成長をひとり感じています。

社会と呼ばれるものと対面することも増え、本に読み触れていた現実よりも恐ろしい闇に戦慄します。そうして社会の闇の障壁にたじろぐこともありますが、何ひとつ元来持っているものは諦めずに生きながらえていることも事実です。戦い方を知った以外は、殆ど変わってないとも言えるかもしれません。

夢の続きに在る幸運に感謝していると同時に、健康に日々が繫がっていることに感動すらしています。
回顧したいと思える過去ができるようになるまで、暫くはまだ走ります。

簡単には終われない。