慾リザード

私はサラリーマンです
そう答えている間に自分が何の仕事をしていたか忘れて
自分は警察官です
そう答えている間に自分が何を守っているかを忘れて
自分は詩人です
そう自分に言い聞かせる間もなく言葉はほつれた汚れのように落ちて
それぞれのあなたがあなたたちと
自分が何をしているのか本当は知らないことに気がつく
生誕という点の延長線上に今日が屹立しているとして
わたしはその浮き沈みするモーターボートの温度を忘れることができない
明日はあしたのあなたの手にあるか
浴槽にふよふよと漂う血潮の玩具にあるか
忘れた過去の中にある破れかけの卵白の隙間に見える
微かな音の無い音の影をおった小道に
生臭くて だから愛おしく濡れる今日と
いつだかに置き去りにしたままだった自分が見つかるかもしれない