憎いのか愛おしいのか
ビル群か湯の沸いた玄関先か
したいのかしたくないのか
虫の知らせもないような正午
音を立てずに滑落していく情感
日付
履歴
体温

斬られたことすら知り得ないのに
血を拭くことなんてできないだろう
人は
人はどこへ行った
窓のない部屋から遥かを見る

街はわたしの延長線だ
景色はわたしの延長線でもある
あいつもこいつもわたしの延長線
ぷつり

ずらりと疵のない傷病者を運ぶラッシュアワー
袋詰めに駆け込むように見えないままの憎しみは
腐臭のする風船となって地下鉄に消えていく

携帯電話はあらゆるものを持ち去ってしまった
インターネットは熱を消し去ってしまった
ぶつり
空間と空間を簡単に摘んで潰せるようになった延長線上には
そこもかしこも手探りの傷口が電波に揺蕩う
見えないのにそこに在るかのように
在るのにそこに見えないかのように
人は
人はどこへ行った
武者小路はどこへ行った

声帯はもう言葉をもたない
斬られたことすら気付けないのに
伝え合うことなんてできないだろう

会わなくても殺せる兵器を
なぜつくった
人は
人はどこへ