午後は気づくと夜に

早足で歩く背広の男が空を見上げる
雲は不機嫌に陽を覆い
行き交う人間たちを見下ろしている
頬に垂れるしずく
アスファルトに飛び込む夜露
ビルを抱くつたう水滴
社会の時間軸を逸脱し、オゾン層を抜ける時が街を暗く染めていく
道路を水飛沫越しに照りつけるネオン
光彩と雨傘の狭間を縫っていくタクシー
油絵の一筆のように木霊する白き吐息
雨は、街を美しくする化粧だ