丸くなる

風がそよぐ
草花は風の背中を支え
そして揺れる
クラウドサーフ
背中を押され草原を進む
薄暗い山道を抜けると小高い丘
湿った空気の層の向こうに広がる街
多めの白色と青色をパレットに垂らし
混ざり合った筆を少し水に浸す
初めての徒競走のような速度で空気の層に筆を下ろす
空に覆いかぶさる大木
葉は青春を謳歌するように身に光を通し
甘い緑を投影している
蝶が手を広げて踊る
頰のそばかすに愛を確かめるように鱗粉は舞い
開けてはならないと言われていた玉手箱が開いた
街までの距離は真空に破られ
穴の空いた球体はひゅるひゅると飛び
冷えた吐息が夜を連れてコンクリートを叩く
葉の緑は滲み パレットの色は消えた
開けてはならないと言われていた玉手箱なんてなかったが

財布を持たずに買えていたものが買えなくなり
電車を乗らずに行けていた場所に行けなくなり
眠らなくても見れていた夢が見えなくなり
角がとれた丸い石がぽつんと

風が運ぶものはなに