グッバイは言わない

まさにこの瞬間にも産まれようとする赤ん坊がいる
つい先ほどまではこの世に存在しなかった存在
ほら見えないすぐそこで あそこでも
見知らぬあなたや未来の友人または晩年の恋人が
ため息を噛み砕く度にまた一人、また一人と股座から零れ落ちる
私たちが死後の世界を恐れ宇宙の遠さを見つめ暗澹たる思いに陥る間に
どちらの世界からも知り得ぬ場所から生まれ出づる人間と魂
この星が太陽の周りをぐるりと巡り続けるように
人間の命も螺旋状に旋回していて
月がこの星の周りをぐるりと周遊し続けるように
人間全体の総意は質量を保つかごとく循環しているのかもしれない
消失と生誕を繰り返すなかに緩やかに下る放物線が滲んでいるのなら、
誰ももはや怯える必要は無い
いまあなたが生きている
そしてそれを知っている
いまどこかで誰かが人を産み
そしてそれを産まれた者が知っている
きっと、それが宇宙なんだろう
よく考えてみる
自分よりずいぶん歳上の友人は、自分がこの世界に来る前からここにいたことを
よく考えて見る
自分より歳下の友人は、自分がこの街で働いている頃にはまだどこにもいなかったことを
そんな可能性がこの刹那にもこの地にギャースカと喚きながら現れている
出会いってすげーよ、まじで